違反内容
強制参加の研修が無給
某派遣会社は派遣社員が派遣就業前に、「適正保証研修」という研修の受講を義務付けられています。
社会人としてのマナーや、実務に必要なスキル、安全衛生知識などを座学や、ほかの派遣社員とのグループディカッションで学びます。
【派遣社員に、研修を行いレベルの高い人材を提供する】ことでほかの派遣会社との差別化を図っているようです。
この「適正保証研修」が労働時間として、扱われず給与の支払いがされなかったのが今回の問題点です。
給与未払いの事例詳細
私は派遣会社で本登録を行ったあと、早速企業を紹介していただき、派遣先企業と顔合わせを行いました。
顔合わせの段階で非常に評価していただき、その場で就業が決定。初出勤日も決めました。
その後、派遣会社担当者から連絡があり、「就業前に適性保証研修を必ず受けるように」言われました。
適正保証研修を6時間受け、当然給与に反映されていると思っていましたが給与が入っておらず、営業担当者に確認したところ、「無給に決まっている」との回答でした。
6時間もの長時間拘束された強制参加の研修が無給。納得いかない!
強制参加の研修は労働時間扱い
■強制参加であるか
■研修に参加しないことで労働者が不利な査定、評価を受けないか
上記の2点が論点になります。
今回の場合は、派遣会社より「派遣就業を希望するなら必ず受講しなければならない」とのことですので、労働時間扱いと判断されるでしょう。
未払い給料請求に対して実際にとった対処法
まずは派遣会社の派遣社員用の相談窓口にメールを送ることとしました。
私:
「適正保証研修」は強制参加の研修でしたが、給料の支払いがされませんでした。給料の支払いをお願いいたします。
派遣会社:
適正保証研修の有料化の提案をありがとうございます。貴重なご意見として、今後の参考とさせていただきます。
私:
有料化の提案ではなく、強制参加の研修には給与の支払い義務があります。
強制参加の研修に給与の支払いをしないのは、労働基準法違反です。
派遣会社:
弊社の適正保証研修は選考の一部であり、強制参加の社員研修の位置づけではありません。
ですので「適正保証研修」は無給でも問題ありません。
私:
「適正保証研修」と【研修】と名が付きながら、選考であるという言い分は通りません。
それに、派遣先就業が決まってから選考を行うのはおかしいです。
言い訳がましいとしか思えません。労働基準監督署にご相談させていただきます。
派遣会社:
あなたに対しては、研修受講の給料を支払うべきかもしれません。
一度お会いしてお話をお伺いできませんか。難しければ電話でも構いません。
私:
証拠を残すため、対面でははくメールでのやり取りを希望します。
派遣会社:
会議であなたには研修参加の給料をお支払いすることに決定しました。
労働基準監督署に行くことなく、未払いだった研修の給料を払ってもらえることとなりました。
未払いの給料をもらうためにやったこと
まずは会社に交渉する
いきなり労働基準監督署に行くのではなく、まずは自分で会社に交渉するのがいいと思います。
労働基準監督署は慢性的な人手不足で、私のようなたった6時間の未払い給料の請求では取り合っていただけないと思ったからです。
労働基準監督署に行くことを伝える
「解決できないのであれば、労働基準監督署に行く覚悟がある。」ことを伝えるのは非常に効果があると思います。
違反企業は派遣社員には、法律知識もなく訴えを起こす財力もないと、考えられていたように思います。
今回も、労働基準監督署の言葉が出たとたん派遣会社の態度が一変しました。
労働基準監督署に通報されることが社会的マイナスイメージになるからではないかと推測します。
やりとりはメールで
やりとりはメールが一番良いかと思います。
誰が、いつ、どのような発言をしたかを確実に証拠と残せるためです。
対面や電話だと発言が証拠に残りにくいです。
対面でのやりとりになりそうな場合は、ボイスレコーダー等を準備するべきだと思います。
証拠を集める
社内で話し合いで解決する、労働基準監督署に相談する。どちらにしても客観的にみて労働者側の意見が正しいと思わせる証拠が必要になります。
私の場合話し合いで解決し、証拠を使う必要がありませんでしたが、このようなものを準備していました。
■今回の派遣会社とのやり取りのメール
■研修で配られた資料(研修の内容証明)
■違反者企業HPの写し(研修参加が義務と記載されている)
タイムカード等があればよりよい証拠になります。
未払いの給与の時効は2年
未払いの給料には時効がありその期間は【2年】です。時効にならないように早めに動くことが大切です。